総務省で日本を一つに
テレビとかwifiとかBluetoothとか携帯電話とか、電波を使うに至った経緯は総務省のHPで資料や議事録とかが赤裸々に詳しく公開されます。ただ技術的な規格の内容は公開されないことが多いです。
公開された議事録や資料をみると、業界や会社の利害がぶつかったりする様子がチラチラ見え隠れして面白いのです。
実際に仕事で当事者に近い立場で経験があるのは、
①大学の研究で生み出した技術を規格に取り入れてほしい。→各のメーカーが実装してみようとしたけど技術の説明が曖昧で実装方法わからんし、無理して理解して取り入れるほどの効果のある技術じゃないよね。(規格には入れるけど、この技術を運用ルールで使用禁止にしましょう!)
②絶対に規格通り動いているのにテスト結果がなぜかNGってなるんだけどなんで?このテスト作ったA社さんは規格書の〇〇ページ○行目になんて書いているか起立して音読してみて?(実際の指摘は1億倍マイルドになります)
みたいな、問題を一個一個、会社間で仲良く議論を重ねたりして、一つにまとめて行きます。
矛盾や欠陥を見つけたり、自社が有利になるような要望をぶつけたりして、規格やルールに技術者が影響を与えられるのが、規格に関わる仕事の醍醐味の一つなのです。
で、wifi6Eの話
日本ではwifi6が流行り始めていますが、アメリカではwifi6Eが始まっています。
wifi6Eの規格自体は国際規格なので何年も前に決まっているのですが、国ごとの電波の割当の話し合いが面白いのです。
wifi6は2.4GHzと5GHzだけですが、wifi6Eは更に「6GHz」の電波も使って安定させようぜ。6GHzは屋内ではwifi6Eでしか使われないのでかなり静かなはず、これでようやく実効速度で1Gbpsを超えることができるのではないかと。
どんな調査をしたのかまとめられた資料が読めます。そのうち議事録も出ると思います。
6GHzをwifiでも使わせてよ!
最近は、6GHzの電波は誰かが使っていて空いているわけではないので今のやつはどうするよ?という検討がされていました。
今6GHzは、
- テレビ中継
- 携帯電話の基地局と交換局の通信
- 衛星通信
- 電波天文観測
で使っているので、これらの邪魔にならないか確認していましたが、
共存できるの?wifi禁止?とか、各業界と調整が必要というわけです。その会議が重ねられているようで大分話が進んだようです。
wifi6Eと共存できるん?調べて見よう
既存の6GHz使っているアンテナの近くで邪魔になるようにwifi6E使ってみてどの程度悪影響が出たかを色々実験や計算をした結果、
基地局と交換局の通信とか衛星通信は影響なさそう
テレビ中継に使ってるんだが、途切れたら放送事故になるやん
テレビ中継は実験データでは大丈夫に見えるんだけど、シミュレーションでは影響出てしまいそうな結果が出た。放送電波が一瞬でも遮断されたら放送事故になるという理由で共存は無理!と言っているので一旦はwifiは制限して議論は継続。
無線LANサイドは実際の実験では問題なかったぞ!共有可能だ大丈夫!と言っているけど、放送局サイドは中継車のそばでwifi使った場合のシミュレーション上では影響出たから無理だわ!と言って意見が合わなかったようです。
天文写真(電波)の写真にやたらノイズ@和歌山大学
和歌山大学電波天文アンテナは市街地が近くて問題あり!6Ghz帯の一部帯域を天文観測専用にしてwifiでは恒久的に禁止にすることになりそう。和歌山大学の天文台がある限りは。
とは言えwifi6Eは止まらない
屋内限定したら大丈夫そうね。とは簡単にはいかなかったようです。
既存の6GHz利用には政府や人命に関わる利用法もあるので、質が下がることに慎重になるのは仕方ないです。
制約は付きましたが、wifi6Eの流れは止まることはありませんでした。本当によかった。
結局どうなる?
wifi6Eはアメリカでは、5925-7125MHz帯(1200MHz幅)を割り当てて使っているのですが、欧州は5925-6425MHz帯(500MHz幅)のみ。
日本も放送中継と天文測定を避けて、欧州と同様に、5925-6425MHz帯(500MHz幅)だけでスタートして行き、議論や実験を継続して継ぎ接ぎして徐々に使えるチャンネルを増やしていくことになるのかと思います。
時期はいつなんでしょうね?webニュースだと6月からとか2022年末からとか言われているのでまったり待ちましょう。
公務員も技術者がんばってる
何が言いたかったかというとwifi6Eって誰も注目してないけどもうすぐ日本でも使えるようになる!だから、今wifi6対応ルーター買うのは待ってもいいのかも。ただwifi7が2024年あたりに策定されるらしいから2026年にはwifi7が手頃になっている可能性もあります。
あと、総務省のお仕事って生活に密接に関わってて日本の技術系の会社が関わってるんだよ。資料は一般に公開されてて面白い情報が読めますよ。というのが、紹介したかったのです。
最後に、携帯やwifiやテレビを使うときは、公務員や技術者が裏でたくさん働いてるんだなぁ。と思っていただければと励みになります。
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