データ通信の花形が消える時代

データ通信の花形が消える時代
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2000年頃に登場したFOMAやCDMA 1X WIN、Vodafone 3Gと言ったサービスはモバイル回線の利用を音声からデータ通信へ移行される非常に画期的かつ大きなシステムであった。
今では4GであるLTEが主流であり5Gサービスが開始されている昨今においては、あまり使われることがなかったのではないかなと勝手に想像している。
そうしたサービスが今年に入りサービス終了して消えている。消えるにあたり、過去にそうした業界にいた私の思い出とか色々書いて置こうと思う。

音声通信とデータ通信

当時、まだ2Gと呼ばれていたmovaやCDMA1と言った音声通信に無理くりデータ通信を合わせた物が主流だった。
3Gは、当時の技術でも目新しく、音声通信による利便性は確率されたものの、データ通信におけるコンテンツが未熟であり必要性がまだ不十分な状態だった。
そんな中で登場したのがiモードやezweb、j-skyと言った携帯電話独自のローカルネットワークだ。この中では非常に軽いコンテンツであるテキストや画像で開発会社が簡単なゲームを提供したりと中々に盛り上がり、連日深夜まで没頭したりする人も出てきていた。
そうした情勢から「パケ死」と言った用語だったり通信費で数十万になった等々のニュースが出回るようになったのは懐かしい。
さて、利用者からの声が大きくなってきたこともあり、各社とも流石にこうした状況を無視することはできなくなってきた。そうした中でデビューしたのがパケ・ホーダイと言った定量性プランだ。
この時には既にデータ通信のコンテンツが軒並み流行り始め、携帯電話用の掲示板やHPが乱立し、今ほどではないが動画をまとめたサイトも流通し始めた。
当時の3G回線は今のように数百Mbpsと言った速度は出ずとも最大42Mbps程度の数値を出していた。そのため、現在のような高画質動画であったり画像とまではいかなくてもそれなりの機器があればストレスなくコンテンツを楽しむことができた。

携帯各社の競争

movaやCDMA1が出始めた頃、携帯各社は追いつけ追い越せと新機種の開発に躍起だった。
それは3Gに移行しても変わらず、個性的な折りたたみ携帯電話やストレートタイプ、デザインに長けた物など新機種だけで10種類程度がラインナップされるのはザラであった。その分、メーカーも多く当時で言うと東芝、日立、三菱と言った家電メーカーが名を連ねていた。
競争が激化することで、携帯電話自体の性能も格段に上がっていった。カメラの性能、テレビ機能の追加、メール機能の強化、音楽プレーヤーとしての機能追加などなど。今思い出そうとしても多すぎて把握ができないほどだ。
この時期の携帯電話は多種多様で今で言うスマートフォンのように各社がその機能で競っていた。もっとも価格については当時の金額なので中々に高額である。
折りたたみの携帯電話の中に高機能を詰め込み、今のスマホと差分のない機能を持っていた。
だが、ディスプレイ一つで全て出来る手軽さには携帯電話は勝てなかった。
2010年に登場したiPhoneはそれほど画期的で衝撃的であった。

スマートフォンの衝撃

当初ソフトバンクから出されたiPhone、初めこそ一部の利用者だけで盛り上がっていた物であったがその危機感は他社であるドコモ、KDDIに衝撃を与えていた。
今後の情勢をひっくり返す物になると陰ながら感じ、iPhoneを提供出来ない2社はこぞってiPhoneに似せたスマートフォンを発表した。
今考えればかなり出来損ないの端末であり、使い勝手も悪い代物であったが、それでも追いつけ追い越せとメーカーはしのぎを削り、新たな端末を登場させた。

――だが、iPhoneには敵わない。

その出来栄えは今までの携帯電話と一線を画す物で、単純に高性能化すれば良いという物ではなかった。
iPhoneはその操作性に重点が置かれ、機能は二の次であった。
その代わりに日本のメーカーが出したのが高機能スマートフォンである。
iOSが利用出来ない代わりにGoogleのAndroid、WindowsのWindows Mobile、BlackBerry、Firefox OS等…。
そうしたOSを利用するが汎用性高く設計されたOSは、iOSほどの操作性を端末に与えることが出来ない。
結果としてiPhone5が発売されるまで各メーカーは泥沼の中でもがいていた。
そして発売されたiPhone5、LTE対応機種であり次世代にふさわしい端末として華々しいデビューを飾る。
ソフトバンクは元よりKDDIもこのiPhone5を受け入れ大々的に販売をし、売れていった。
残されたメーカーは不安定な端末を何とか使えるようにと頑張るが、メーカーの体力は残っていなかった。
当時携帯電話を作っていたメーカーである、三菱、日立、東芝、カシオ、セイコー、NEC、日本無線等はこの後に続々とモバイル端末から撤退した。
あの華々しくも多機能に溢れ日本国内のメーカーがお互いの技術を競い合った時代はこうして消えたのだ。
その後、モバイル端末を開発していたメーカーの事業は売却や統合され、現在は下記のメーカーが日本メーカーとして残っている。

  • SONY
  • SHARP
  • 富士通
  • 京セラ
  • パナソニック

一部は業務用であったりと表舞台に出てくる事はほぼない。また、当時のように半年に1回新機種を出したりといった激しさは無くなった。
技術革新が鈍化したこともあるが、ひとえに市場が大きく変化したことが要因だ。
激しくも華があった携帯電話市場、今ではもうその影は何処にもない。
時代とはそういう物だと私に痛いほど教えてくれた出来ことだった。

ところで4Gとか5Gに移行するのは何でだ

電波という物は感覚的に無限にあるように見受けられる物だが、実は有限である。
私達が日常的に見ている光や音と言った物も電波の一つであり、こうした自然界に元から存在している物だったり生活で利用している物と被らない物を利用する必要がある。
こうした被らないようにする指標として周波数がある。
携帯電話、スマートフォンに割り当てられた周波数は限られた範囲の中で運用がされている。その為にいくらでも電波を出せば良いということにはならない。
また、出力を上げるという話もあったりするが、出力を上げるということは言わば電子レンジのワット数を上げることと同様になり、周囲の物体の温度を上げたりと不都合が生じる。
実際にテレビやラジオ、携帯電話で利用されている電波の出力は非常に小さく、よく携帯電話基地局からの電波によって体調不良が~と言った話が出たりしているが、ほぼプラシーボ効果であったり基地局が立っているというストレスから生じる物である。

こうした理由から電波の利用には非常に厳しい制約がかけられ法律でも定められている。
そして、過去のシステムである2Gや3Gと言った物は、非常に非効率にこの電波を使用している。
最近主流となっている4Gは2Gの頃と比べ数百倍もの電波の効率化がされており、日々利用している数千万人を支えている。
今回の3G停波もどちらかというとこうした増えたユーザーに対する利便性の向上、つまり電波の効率化をすることで利用者数を増加させ繋がりにくさを解消させる事が主な理由だろう。

今後はどうなるのだろうか

さて、今後について順当に行けば6Gが将来的にサービスインすることは容易に想像出来る。
しかし、6Gが5G同様に高速通信を目的とした物であるのなら利便性はかなり変わる。
現在主流となっているのは4Gであり、5Gがあまり提供されていない理由としてそのシステムで利用している周波数帯域が異なる事が上げられる。
4Gは今までの2G,3Gで利用されていた800MHz、700MHz、2GHzと言った周波数帯を利用している。
それに対して5Gは3.5GHz~4.5GHzと高い周波数を利用している。
この違いは非常に大きい。

電波の特性を一度整理しよう。
電波は周波数が低いほど電波の通りは良くなるが電波の中に入れられる情報量に制限が出てくる。
逆に周波数が高くなればなるほど電波の通りは悪くなるが、逆に入れられる情報量が多くなる。
5Gが高速通信とうたっている理由、そしてエリアが人口密集地でしか提供されていないのはこうした電波が通りにくい事が原因だ。
田舎や山間部の場合、広い土地に対して利用者がまばらにいる状態となっている。そこにいる人々に5Gのサービスを提供しようとすると幾つも基地局を建設しなければいけない。
代わりに電波が通りやすい4Gを利用すると、基地局は5G程必要なく、広範囲にサービスを提供する事が可能となる。

こうした電波の特性を鑑みるに、単純に周波数を上げてデータ量を増やすという事を行うのは難しい。
技術的には素晴らしくても、実用性としては無いからだ。
6Gはまだ研究段階であり、どういった仕様になるのかもまだ何も決まってない。
ただ少なくとも4Gが現在の主力として残り続ける事は確定だろう。
山間部が多く電波の通りが悪い日本の地形にはどうしてもこうした4Gシステムがまだまだ必要となってくる。

私達の身近かつ重要なインフラとして提供されているモバイル回線。今後の動向に注意が必要である。

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